category: ゆりかごの歌  1/11

【 海の日 】の大海原で娘と二人、想うこと

海が近い町で生まれ育った私は、ずっと山に憧れをもっていた。憧れはいつしか恋い焦がれる気持ちになっていき、家から見える遠くの山並みに溜息を吐く、その想いは、郷愁と言ってもいいかもしれない。それが運命の神様の手により、その山並みの一角に住む人と( 夫 )縁があり、憧れの地の住人になることができた。けれど人の暮らしは往々にして変わるように、それが今では里を離れ町家に住むということになってしまったのだから、運...

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実家の解体が終わった、けれど心に残る想い

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実家がついに取り壊された。跡形もなくなったかつての家は、物置を残し、ただの更地になってしまった。何でも税金対策だとかいう姉の考えで、物置を残したことは、私には解せない。おかしな残し方をすると、いつまで経っても、後ろ髪を引かれる想い、未練が残ってしまう。私が子どものころ、町の至る所に空き地があった。空き地は原っぱと呼ばれ、背丈の低い草が生えていた。草が生えていない広場は、空き地と呼ばれ、缶けりや、陣...

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八月の小中合同同窓会で、誰よりも会いたい人

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間もなく、来月には小中の合同同窓会が開かれる。これまで一度も参加したことのなかった私が、今回は知らずと、参加すると言ってしまった。不可思議な自分の衝動から、ふと我に返り、参加する気力が失せないように、費用も先に振り込んだ。にほんブログ村人見知りの激しい私が、参加したいと思ったのは、同級生のユカワ君のことがある。ユカワ君は、クラスの嫌われ者だった。真面目で大人しく、秀才だった彼が、なぜクラスの嫌われ...

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キャンプファイヤーの夜の、密かな出来事

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今年8月、人生初の経験をする。と、大袈裟に書いたのは、実は、大きな決断をした自分の気力が萎えそうだから。もう、年十年前になるだろう。彼と私は、小5のときに学級委員として、いわば相方の関係にあった。当時の担任は、白川先生だったなと、記憶が徐々によみがえってきた。あの年の夏も、今と同じように、やっぱり暑かった。子どもたちに精神鍛練と、しばしの涼を与えるための夏休みの林間学校は、毎年、和歌山県加太と決まっ...

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母の愛に、抱きしめられた日

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母が死んだ日も、朝から暑く、病室の窓は閉め切っているというのに、雨音が聞こえていた。医師に「奇跡のようなものです」 と言われた母は、二度の手術を乗り越え、重篤な脳出血より生還した。自分の足ではなく車椅子ではあったけれど、無事、退院を果たすことができた。それからの人生、七年を母は生きた。術中に装着した人工呼吸器は外すことはできたけど、結局、母は命と引き換えに、声を失った。けれども、話せないもどかしさ...

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