父と飲んだ、初めてのお酒

  19, 2017 07:30
子どものころ、普段は無口な父が、お酒を飲むと一変して饒舌になるのが、好きだった。
顔を赤らめ、ほろ酔いの父の話は、とても面白く、私たち姉妹は父がお酒を飲んだ日の夜は、嬉しさでいっぱいになったものだった。
同じ話を何度もくり返したり、すぐに関係ない方向へと迷走していくのではなく、心躍るような話を創作し、子どもたちに聞かせる父は、良い酒飲みだったなと思う。
それだから、私たち姉妹は、お酒を飲む男性と結婚したのかもしれない。



お酒に対しトラウマを持っている人に言わせると、「お酒を飲むと性格は変わるし、大ぼら吹くし、同じことを繰り返すし話が諄いから嫌い」ということになるらしい。

だから金輪際、お酒を飲む男性とは結婚など、考えられないと。

父はこれとはまるで正反対で、酔うと饒舌になる上に、話は面白く、もっとご機嫌なときには夜の散歩にも連れて行ってくれる。

にほんブログ村 主婦日記ブログ 50代主婦へ


忘れられない光景がある。


あるとき、いつものように、台所で家事に勤しんでいる母に、「お母さん、何か手伝おうか」と、お酒を飲んだ父が言った。
普段は、食事中に話をするときにも、「 口を開けずに話しなさい 」、と子どもたちを叱る父だったから、驚いた。


中学生のころ、進路で悩んだ時期があった。
そのとき、無関心に見えた父が、熱心に私の悩みを聞いてくれた。

そして、自分の10代の頃を、途切れ途切れになりながらも話してくれた。
父は、六人兄弟の次男として生まれた。

父の父は、頭の良い長男を誇りにし、跡取り息子としてただ一人だけを大切にした。
家族の中で居場所が無かったこと、頭では兄貴に敵わないと、勉強が嫌いになっていったことなど。

これまで、父はお酒の力を借りても自分のことは語ろうとはしなかった。
ましてや、祖父の最愛の長子が戦死したとあっては、家では静かに鳴りを潜めるしかなかったと、打ち明け話までした。

目の前の父は、私が思う姿とはかけ離れていて、一人の傷付きやすい人に見えた。

父は職業柄か歴史に聡く、受験真っ最中の私に、中国の古代史を、目の前に鮮やかに映像が浮かぶように面白く教えてくれた。
歴史は脈々と受け継がれてきた、地球の物語だと言う父の話に、私は夢中になった。



それでも、あのころは酔った大人が疎ましく思うことが多くあり、自分は、大人になってもお酒は飲まないだろうと思っていた。


昨夜は、仮住まいで初めて、家族一緒にお酒を酌み交わした。
グラス一杯くらいのビールで、赤く顔を染める夫に、ふと父の面影を感じた夜だった。
やはり私は、父の面差しを感じさせてくれる人と結婚したようだ。

にほんブログ村 主婦日記ブログ 50代主婦へ




------------------------------------------------------------------------

いつもご訪問いただき、クリックをありがとうございます!

にほんブログ村 主婦日記ブログ 50代主婦へ
にほんブログ村




スポンサーサイト